
「長時間座っているとお尻がジンジン痛む…」「足にかけてしびれがある…」そんな症状でお悩みの方はいませんか?
整体師として18年の経験を持つ私のもとには、このような症状を訴えるお客様が多く来院されます。病院では「坐骨神経痛」と言われたものの、湿布や痛み止めではなかなか改善しないというケースも少なくありません。実は、このような症状の裏には「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」が隠れていることがあるのです。
私は整体師として18年間、数多くの患者さんの体の不調と向き合ってきました。その中でも特に印象に残っているのが、30代後半のIT企業に勤めるAさんのケースです。
「先生、座っているとお尻が痛くて、足がしびれるんです。」
初診時、Aさんはそう訴えて来院されました。痛みは右のお尻から太ももの後ろ側に放散し、長時間のデスクワークで特に悪化するとのこと。整形外科で腰椎椎間板ヘルニアの検査を受けましたが、異常はないと言われたそうです。
これは典型的な「梨状筋症候群」の症状でした。
梨状筋症候群とは
梨状筋症候群は、お尻の深部にある「梨状筋」という筋肉が緊張や硬直することで、その周辺を通る坐骨神経を圧迫してしまう状態です。症状として以下のようなものが特徴的です:
- お尻の深い部分の痛み
- 太ももの後ろ側のしびれや痛み
- 長時間の座位で症状が悪化
- 歩行時の違和感や痛み
私の臨床経験では、特にデスクワークが多い方や運動不足の方に多く見られます。また、意外にも若い世代での発症も増えていると感じています。メディカルノートさんの解説はこちら
なぜ梨状筋が緊張するのか
ここで、私が5年前に担当した学生アスリートのBさんの例を紹介したいと思います。陸上部で短距離選手として活躍していたBさんは、急に右足に力が入りにくくなり、スタートダッシュに支障が出始めました。
詳しく状態を確認すると、過度なトレーニングと柔軟性の不足が原因で梨状筋に強い緊張が生じていました。この経験から、梨状筋の緊張には主に以下のような要因があることがわかってきました:
1. 長時間の同じ姿勢(特にデスクワーク)
2. 運動不足による筋力低下と柔軟性の欠如
3. 過度な運動や急激な運動強度の増加
4. 不適切な姿勢や歩き方
整体でのアプローチ
私たち整体師が行う梨状筋症候群へのアプローチは、大きく分けて3つあります。
まず1つ目は、梨状筋自体へのアプローチです。お尻の深部にあるため、的確なアプローチには熟練した技術が必要です。初めて施術を受ける方は、「こんな深いところまでケアできるんですね」と驚かれることも多いです。
2つ目は、周辺筋群を含めた包括的なケアです。実は、梨状筋の緊張は単独で起こることは少なく、多くの場合、腰部や骨盤周りの筋肉の不調と関連しています。
3つ目は、日常生活での予防とセルフケアの指導です。これが最も重要かもしれません。
実際の施術例として、昨年担当した主婦のCさんの場合を共有させていただきます。家事や育児で常に動き回っているCさんは、右のお尻の痛みと足のしびれに悩まされていました。
初回の施術では、まず腰部から骨盤にかけての全体的な調整を行い、その後、梨状筋に対して丁寧なアプローチを行いました。さらに、日常生活での注意点とストレッチ方法をお伝えしました。
3回の施術と、自宅でのセルフケアの継続により、症状は大きく改善。「朝起きた時の違和感がなくなりました」と喜んでいただけました。
先日、40代の女性のお客様が「数ヶ月前からお尻の痛みがひどくなり、歩くのも辛くなってきた」と相談に来られました。病院では坐骨神経痛と診断され、湿布や電気治療を続けたものの改善が見られず、整体に来られたそうです。
施術前の姿勢をチェックすると、骨盤の歪みがあり、特に右側の梨状筋が極度に緊張していました。そこで、まずはお尻周りをじっくりほぐし、骨盤の歪みを整える施術を行いました。さらに、股関節の可動域を広げるストレッチを取り入れたところ、1回の施術で「足が軽くなった!」と喜ばれていました。
その後、3回目の施術あたりで痛みが大幅に軽減し、歩行もスムーズになりました。現在は、定期的なメンテナンスとして月1回の施術を続けられています。
予防のために
最後に、予防の観点から重要なアドバイスをさせていただきます。
デスクワークの方は、1時間に1回は立ち上がって軽く歩くことをお勧めします。また、座る時は骨盤を立てた姿勢を意識することで、梨状筋への負担を軽減できます。
運動好きの方は、準備運動とクールダウンを丁寧に行い、急激な運動強度の増加は避けましょう。
そして何より、違和感や痛みを感じたら早めの対処が重要です。痛みを我慢して放置することで、症状が慢性化してしまうケースを数多く見てきました。
18年間、多くの患者さんと向き合ってきた経験から言えることは、体の声に耳を傾け、適切なケアを行うことで、必ず改善の道は開けるということです。お尻の痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ一度、専門家に相談してみることをお勧めします。