側弯症に悩む方の多くが、「この歪みは治るの？」「整体で改善できるの？」と不安を抱えています。特に長年悩まれている方ほど、「もうこのまま付き合っていくしかないのかも…」と諦めかけているケースも少なくありません。
整体師として18年間、多くの側弯症の方を施術してきましたが、私の経験から言えるのは、側弯症の進行を抑えたり、身体の負担を軽減するサポートは十分可能であるということです。
特に重要なのが、脊柱起立筋のバランスです。脊柱起立筋とは、背骨を支える筋肉の集まりで、左右のバランスが崩れることで側弯症が進行しやすくなります。
側弯症とは
側弯症というと、多くの方が「骨のゆがみ」というイメージを持たれます。確かにその通りなのですが、私の臨床経験から言えることは、実は脊柱起立筋という背骨を支える筋肉の状態が、側弯症の進行や改善に大きく関わっているということです。
脊柱起立筋は、背骨に沿って左右に走る重要な筋肉です。この筋肉のバランスが崩れると、徐々に背骨が横に曲がっていく原因となります。逆に言えば、この筋肉へ適切にアプローチすることで、側弯の進行を抑えたり、場合によっては改善につながる可能性があるのです。
脊柱起立筋は、背骨を支える重要な筋肉群で、左右均等に働くことで背骨が正しい位置に維持されます。しかし、側弯症の方はこの筋肉のバランスが崩れ、片側が過剰に緊張し、もう片側が弱くなっているケースが多いのです。メディカルノートさんの解説はこちら
例えば、先日いらっしゃった30代の女性のお客様。
「昔から姿勢が悪くて、最近腰や背中がすごく疲れやすいんです」
と相談に来られました。側弯症は以前から指摘されていたものの、特に痛みがなかったため、あまり気にしてこなかったそうです。ですが、最近になって腰痛や肩こりがひどくなり、仕事にも影響が出るほどになってしまったとのこと。
姿勢を確認すると、背骨が左右に歪んでいるだけでなく、背中の筋肉の使い方にも明らかな偏りが見られました。
彼女の場合、右側の脊柱起立筋が過剰に緊張していて、左側は逆にうまく使えていない状態でした。そのため、背骨を支える力のバランスが崩れ、側弯の状態が悪化していたのです。
整体でできる側弯症のサポートとは？
整体では、脊柱起立筋のアンバランスを整えることを第一に考えます。そのために、以下の3つのステップを重視します。
① 筋肉のバランス調整（緊張をゆるめる＆弱い部分を活性化）
片側の脊柱起立筋が過剰に緊張している場合、その部分を緩めることが大切です。筋肉が硬くなっていることで、背骨を引っ張る力が偏り、側弯の状態が悪化するためです。
一方で、逆側の筋肉は弱くなっていることが多いので、適度な刺激を与えて活性化することも重要になります。
先ほどの女性のケースでは、右側の緊張を解放し、左側の筋肉にしっかり力が入るように整体で調整しました。
② 骨盤のバランスを整える
側弯症は背骨だけの問題ではなく、骨盤のバランスが大きく影響します。骨盤が歪んでいると、その上に乗っている背骨もバランスを崩し、側弯が進行しやすくなります。
実際、彼女の骨盤も左右で高さが異なっており、歩くときの重心も偏っていました。そこで、骨盤の調整を行い、左右のバランスを均等にする施術を取り入れました。
整体は魔法ではありません。
ただし、ここで注意していただきたいことがあります。側弯症の状態は人それぞれ異なります。年齢や曲がりの程度、生活環境によって、アプローチの方法や改善の見込みは変わってきます。
特に成長期のお子さんの場合は、整形外科での定期的な検査と並行して整体を受けていただくことをお勧めします。また、重度の側弯症の場合は、整体だけでなく、医療機関での適切な治療が必要となることもあります。
最近では、12歳の女子中学生の例も印象に残っています。成長期に入り、側弯の進行が心配という母親の相談から始まりました。整体では特に、左右の脊柱起立筋のバランスを整えることに注力しました
定期的なケアを続けた結果、半年後の検診では側弯の進行が抑えられていることが確認できました。「部活も続けられて良かった」という笑顔を見られたときは、整体師冥利に尽きる思いでした。
側弯症でお悩みの方へのアドバイスです。まず、諦めないでいただきたいということです。確かに完全な改善が難しいケースもありますが、適切なケアによって症状の緩和や進行の予防が期待できることが多いのです。
また、整体を受ける際は、必ずご自身の状態や生活習慣について詳しく施術者にお伝えください。側弯症の状態、普段の姿勢、仕事や学校での過ごし方など、できるだけ具体的な情報をお話しいただくことで、より適切なケアプランを立てることができます。
この18年間、多くの側弯症の患者さんと関わる中で、脊柱起立筋へのアプローチの重要性を実感してきました。もちろん、まだまだ研究や検証が必要な分野ではありますが、確実に患者さんの改善につながるケースを数多く経験しています。
