整体の効果を最大限に引き出す通い方について、18年の臨床経験からお伝えしていきたいと思います。
整体に通うと「体が軽くなった」「肩こりや腰痛が楽になった」といった効果を実感される方が多いですが、1回の施術で劇的に改善するわけではありません。効果を最大限に引き出し、持続させるには、適切な頻度で通うことが大切です。
整体に通う適切な頻度とは？
私は整体師として18年間、多くのお客様の身体と向き合ってきました。その中で、効果的な整体の通い方には「筋肉の3原理・5原則」が深く関係していることに気づきました。本記事では、整体に通う頻度の目安や、より効果を引き出すポイントをお伝えしていきます。
整体に通う頻度について、よく患者さんから質問を受けます。「週1回がいいですか？」「月1回では少なすぎますか？」。実は、この答えは人それぞれで、画一的な回答は難しいのです。しかし、筋肉の3原理5原則を理解すれば、自分に最適な通院頻度が見えてきます。
私が忘れられない患者さんに、IT企業で働く田中さん（仮名）がいます。デスクワークで慢性的な肩こりと腰痛に悩まれ、週3回のペースで通われていました。しかし、なかなか症状が改善せず、むしろ悪化することもありました。
田中さんの場合、頻繁な施術が体に過度な負荷となっていました。デスクワークという特殊な環境に合わせた施術プランを立てました。週1回の施術に変更し、代わりにオフィスでできるストレッチを指導しました。
筋肉の3原理
整体の施術でアプローチする筋肉には、「可塑性の原理」「過負荷の原理」「特異性の原理」の3つの原理が関係しています。
1. 可逆性の原理
これは、筋肉や関節が「繰り返し刺激を受けることで変化する」という性質です。例えば、猫背や反り腰の人が整体を受けると、一時的に正しい姿勢に整いますが、日常の癖が強いとすぐに元の状態に戻ります。つまり、1回だけの施術では不十分で、定期的に繰り返すことで身体に正しい状態を覚えさせることが大切なのです。
2. 過負荷の原理
「一定の負荷をかけ続けないと、身体は変化しない」という考え方です。これはトレーニングと同じで、軽いマッサージを1回受けた程度では根本的な改善にはつながりません。整体でも、ある程度の刺激（施術やセルフケア）を継続的に与えることで、筋肉のバランスが整い、痛みや歪みが改善されていきます。
3. 特異性の原理
「特定の動作を繰り返すことで、その動作が改善される」という原理です。例えば、デスクワークで固まった肩や首を改善するには、その部位に特化した施術やストレッチが必要です。整体では、お客様の生活習慣に応じたアプローチをすることで、より効果的なケアができます。
効果をさらに高めるための筋肉の5原則
整体の効果をより引き出し、長く維持するためには、「筋肉の5原則」を意識することが重要です。
1. 全面性の原則
身体は全体のバランスが大切です。肩こりが気になるからといって肩だけをケアするのではなく、首・背中・骨盤まで整えることで、より良い効果が得られます。
2. 個別性の原則
人によって身体の状態は違うため、自分に合った整体やセルフケアを行うことが重要です。整体師と相談しながら、自分の体質に合った施術を受けましょう。
3. 漸進性の原則
身体は徐々に変化していくため、無理なく段階的にケアを続けることが大切です。「1回で完璧に治す」のではなく、少しずつ良くしていくイメージを持ちましょう。
4. 反復性の原則
一度良くなっても、放置するとまた元の状態に戻ってしまいます。整体の効果を持続させるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
5. 意識性の原則
整体の施術を受けるだけでなく、普段の生活の中で姿勢や運動を意識することも重要です。整体師からのアドバイスを実践し、健康な身体を維持しましょう。
整体の効果を最大限に引き出す頻度
これらの原理原則を踏まえた上で、一般的な通院頻度の目安をお伝えします。整体に通う頻度は、「改善を目的とする時期」と「維持・予防の時期」で変わります。
改善を目的とする時期（初期）
・週1回ペースで4〜6回
・慢性的な肩こりや腰痛の人は10回程度
初めて整体を受ける方や、長年の不調がある方は、まず身体をリセットする期間が必要です。この期間は、整体の施術と並行して、日常の姿勢やストレッチの習慣を見直すことで、効果がより早く現れます。
維持・予防の時期（メンテナンス）
・2週間〜1ヶ月に1回
身体の状態が安定してきたら、メンテナンスとして通う頻度を減らしていきます。この段階では、セルフケアを習慣化することで、整体の効果を持続させることができます。
最後に強調したいのは、整体は「通えば通うほど良い」わけではないということです。適切な間隔での施術と、日常生活でのセルフケアの組み合わせが、最も効果的です。
整体師として18年間、数多くの患者さんを見てきた経験から言えることは、「継続は力なり」という言葉は真実ですが、その「継続」の形は人それぞれだということです。あなたの生活リズムや体の状態に合わせた、最適な通院プランを見つけることが、整体の効果を最大限に引き出すカギとなるのです。
