骨盤矯正とポッコリおなか

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私は整体師として18年間、数多くの患者様と向き合ってきました。

整体師として18年のキャリアを持つ私ですが、よくお客様から「骨盤矯正をすればポッコリお腹が解消しますか?」という質問を受けます。この質問に対して、私の答えは明確です。「骨盤矯正だけではポッコリお腹は解消しません」。もちろん、骨盤の歪みが体全体に影響を与えることは事実ですが、ポッコリお腹の主な原因は別のところにあるのです。

今日は、長年の経験から見えてきた、骨盤矯正とポッコリお腹の本質的な関係についてお話ししたいと思います。

ポッコリお腹の原因は骨盤の歪みではない

最近特に印象的だったのは、30代後半の女性の患者様でした。彼女は、様々な整体院で骨盤矯正を受けてきたものの、ポッコリお腹は一向に改善せず、むしろ悪化の一途を辿っていました。初診時の問診で「骨盤の歪みが原因だと言われ、矯正を繰り返してきましたが...」と、半ば諦めの表情で語る彼女の言葉が、今でも心に残っています。

実は、ポッコリお腹の主な原因は、骨盤の歪みではありません。多くの場合、それは以下の要因によるものです

内臓脂肪の蓄積、腹筋の衰え、内臓の下垂、食生活の乱れ、運動不足などです。これらの本質的な問題に向き合わずに、単に骨盤を矯正するだけでは、根本的な解決にはなりません。

特にほとんどの場合は「内臓脂肪の蓄積」がポッコリお腹の原因です。厚生労働省による内臓脂肪の減らし方はこちら

ある40代の会社員の方は、週1回の骨盤矯正に半年以上通っていましたが、お腹の改善は見られませんでした。詳しく生活習慣を伺うと、深夜までの残業、コンビニ食の多用、運動不足という現代人に典型的な生活パターンが浮かび上がってきました。この方には、まず生活習慣の改善から始めることをお勧めし、その結果、徐々にではありますが、確実な変化を実感していただけました。

また、骨盤矯正に関して誤解されていることの一つに、「骨盤が開く」という概念があります。妊娠・出産を経験した50代の患者様は、「骨盤が開いたままで、それを閉じるために矯正が必要だと言われました」と話されていました。しかし、骨盤は単純に「開く」「閉じる」というものではありません。骨盤は強靭な靭帯で固定された強固な構造物で、そう簡単には動きません。

私が特に危惧しているのは、「骨盤矯正さえすれば」という安易な考えが広まっていることです。ある20代の患者様は、インターネットの情報に影響され、骨盤矯正だけで体型の悩みが解消されると信じていました。しかし、これは残念ながら、現実的ではありません。

ポッコリお腹改善にすべきこと

では、ポッコリお腹を改善するために、何をすべきなのでしょうか。私が患者様にお伝えしているのは、以下のようなアプローチです:

まず、適切な食事管理です。35歳の患者様は、食事の時間帯と内容を見直すだけで、2ヶ月で目に見える変化がありました。特に夜遅い食事を控え、食物繊維を意識的に摂取するようにしただけでも、大きな違いが出ることを実感されていました。

次に、正しい姿勢の維持です。デスクワークが多い30代の方は、仕事中の姿勢を意識的に正すことで、内臓の位置が改善し、お腹周りのシルエットが変わってきたと報告してくださいました。

そして、適度な運動習慣の確立です。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を日常に取り入れることで、代謝が上がり、自然とお腹周りにも変化が表れてきます。45歳の主婦の方は、毎朝15分のストレッチを習慣にしただけで、体の変化を実感されていました。

確かに、骨盤の位置関係が体の状態に影響を与えることは事実です。しかし、それはあくまでも全体の一部分でしかありません。骨盤矯正に過度な期待を寄せるのではなく、生活習慣全体を見直すことが、真の改善につながるのです。

18年間の臨床経験を通じて、私は多くの患者様の「変化」を見てきました。最も印象的だったのは、骨盤矯正への固執から解放され、本質的な生活改善に取り組んだ方々の成功例です。彼らは、単なる体型の変化だけでなく、生活の質自体が向上したと口を揃えて言います。

整体師として、時には患者様の期待とは異なるアドバイスをすることもあります。しかし、それは患者様の真の改善を願ってのことです。安易な解決策を提示するのではなく、本質的な問題に向き合い、それを一緒に解決していくことこそが、私たちの役割だと考えています。

ポッコリお腹の改善は、確かに時間とエネルギーを要する課題です。しかし、正しい理解と適切なアプローチがあれば、必ず改善は可能です。骨盤矯正という一時的な処置に頼るのではなく、日々の生活習慣を見直し、継続的な改善を目指すことが、最も確実な方法なのです。

私は今後も、患者様一人一人の状態に真摯に向き合い、科学的根拠に基づいた適切なアドバイスを提供していきたいと考えています。それこそが、整体師としての真の使命であると信じています

 

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